扇子の定番の柄といえば伝統文様である和柄。一口に和柄と言っても、日常的によく見かけるデザインから馴染みのないものまで、種類豊富にありますが、それぞれに意味が込められているのをご存知でしょうか。柄が持つ意味やルーツを知ると、扇子を選ぶ時間がさらに楽しくなるかもしれません。白竹堂では、伝統的な和柄をあしらった扇子を数多くご用意しています。今回は、扇子でよく使われる代表的な和柄についてご紹介します。

和柄ってほんまにようけあるんやで~
伝統文様と扇子
日本で古くから調度品や織物によく使用される「伝統文様」。デザイン性が高く、現代ファッションにも影響を与え、日本だけでなく海外でも愛されています。伝統文様の中でも縁起の良いとされる模様は吉祥文様とも呼ばれ、柄毎に由来や意味が込められており、その数は十種類にも上ります。扇子そのものが「末広」の縁起物であることから、扇面に描かれる柄もまた縁起の良い柄が描かれることが多く、古来より人々に親しまれてきました。
扇子でよく使われる和柄
ここからは扇子でよく使われる和柄を8つご紹介します。
紗綾形
梵字の卍を斜めに重ねた模様。もとは紗綾と呼ばれる絹織物の一種に使われていた模様で、次第に模様そのものが紗綾形と呼ばれるようになりました。 万字が連なることから、絶えず長く続くよう、一族の繁栄や長寿を願う「不断長久」の意味があるとされています。
青海波

青海波(せいがいは)は波を抽象化した扇の形を連ねた模様。もとは『青海波』という雅楽の演目の中で使用する衣装の模様に使われたことから、模様自体が青海波として親しまれるようになったとされています。無限に広がる波の模様から「未来永劫」「平穏な生活への願い」が込められています。
市松
市松モダン 扇子セット -紳士- 墨納戸
市松モダン 扇子セット -婦人- 紅草
碁盤の目状に2色の正方形を連続させた格子模様の一種。江戸時代に歌舞伎役者の「佐野川市松」が、この模様をあしらった衣装を身に着けていたことから、市松模様と呼ばれるようになりました。途切れることなく続くことから、子孫繁栄や事業拡大といった「繁栄」の意味が込められています。
七宝
七宝(しっぽう)は同じ大きさの円を上下左右に四分の一ずつずらし重ねた模様。仏教用語であり、七つの宝物である・金・銀・真珠・瑠璃・瑪瑙・珊瑚・水晶を指すとされています。円形が永遠に続く七宝柄は「人とのご縁」「円満」「繁栄」意味を表しています。
亀甲
亀甲(きっこう)は亀の甲羅を表す正六角形を連ねた模様。飛鳥時代~奈良時代頃に、中国から伝わったとされています。当時は、亀の甲羅を焼き表面のひび割れ方から吉凶を占い、政治の判断を行っていました。そのため、甲羅の柄である亀甲は格式高く、神聖なものとして扱われていたのです。亀が長寿であることから、「長寿の象徴」とされています。

亀甲にもたくさん種類があって、白竹堂では毘沙門亀甲の柄がよく使われてるんやで
麻の葉
麻の葉をひし形に見立て、正六角形と幾何学的に重ねた模様。麻の葉は丈夫で成長が早いことから、「子供の健やかな成長を願う」の意味が込められています。江戸時代頃は「魔除け」として子供の産着などにも使われていました。
立涌
立涌(たてわく)は2本の波打つような曲線が規則的に並んだ模様。平安時代、公家の階級を示す有職文様として、装束や調度品に使われてきました。水蒸気(雲気)が立ち上る様子を表していることから、運気上昇の意味が込められています。
格子
縦縞と横縞が交差した模様で、長方形のものから正方形のものまでデザインは様々。途切れることなく格子の柄が続くことから「永遠」「発展」「繁栄」の意味をもつ縁起の良い柄として親しまれています。
まとめ
扇子でよく使われる和柄とその意味をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。柄毎に繁栄や長寿など縁起の良い意味が込められていますので、贈る目的に合わせて柄を選んでみるのもおすすめです。伝統的な和柄のルーツや意味を知ることで、特別な贈り物の参考になれば幸いです。